2023魚沼市プレミアム
限定品

深雪なす

(やぶかみなす生産組合)

ころんとした愛らしい形。つややかでピンと張った肌。手のひらにすっぽりとおさまりながら、ずしりと重い。食べると歯切れよく、水分の多さ、甘みはなすという概念を覆してくれる。その名は「深雪なす」。雪深い魚沼の風景を、名前に乗せて。

審査員の講評

  • 田村 秀 ( たむら しげる )

    新潟県に長年住んできて様々ななすを食べてきましたが、深雪なすのような個性的なものは味わったことがありませんでした。なすとは思えないほどの深い甘み、深雪は魚沼の雪深さ以上に味わいの深さがあります。 料理するには他のなすとはちょっと違う個性があるので、心して対処したほうがいいのかもしれません。でも、それこそが深雪なすの味わいであり、魚沼らしさでもあるのです。深雪なすも、もちろん魚沼産コシヒカリとの相性はバッチリです。様々な料理法を試してみてください。門外不出の種管理を長年続けたことが、唯一無二のブランドなすを育て上げたのです。

  • 武藤 麻実子 ( むとう まみこ )

    地元野菜として組合の中で、種苗の管理も含め、大切に育成してきた経緯に感銘を受けました。自家採種で、他に流出していないことにも驚きました。豪雪地帯という魚沼イメージによく合う「深雪なす」という語感も、消費者から認識されやすいのではないでしょうか。ネーミングに対する熱い思いによる改名はよかったと思います。 小さめの外観ながらもずっしりとした重量感のある「深雪なす」の品質や味については、実際に食するとよく分かります。現在は関東(東京)への出荷がメインとのこと、おいしさや他のなすとの差別化は首都圏から発信してブランド力をつけるのもひとつの手でしょう。若い世代の組合加盟者が増えているというお話にも安心しました。

  • 須田 和博 ( すだ かずひろ )

    新潟名物といえば、枝豆と並んぶ夏の美味が「なす漬け」です。須田の実家も「なすの漬け方」にはとてもうるさかった。その新潟の魚沼で50年自家採種しつづけた品種の「なす」だというのは、すごいブランドだと思います。「深雪なす」というネーミングも、とても魚沼らしさと美味しそうに感じる「シズル感」のある名前だと思います。「魚沼の畑は、どこも元は田んぼだからすべて水路が通っていて、なすを育てるには好適である」ことや「世襲と利権に縛られた農業の中にあって、なす栽培はスタート時の機材投資がいらず、新規就農でも参入しやすい。そして、2年もやれば、3年目には若い衆の方が上手くなる」など、興味深い話をたくさん聞けました。それらも新旧の物語として伝えていくと「深雪なす」のファンが拡がっていくと思いました。

  • 坂上 真人 ( さかうえ まさと )

    まずこの「深雪なす」を手に取った時の皮のしっかりとした感覚とつややかさ、みずみずしさ、中身が外側から触っただけでもきっしりと詰まっていることがわかるずっしりとした重さにびっくりしました。魚沼地域から種の持ち出しを規制して門外不出のなすということで、地域の生産者の方々も過去から現在にも慎重に大切に栽培される体制に、この商品に対して携わってきた地域のこだわりを感じました。いただいた「深雪なす」ですが、お刺身にしたらおいしいというお話しを頂き、認定審査会の帰り早速頂いたところ甘みがありみずみずしさで初めて食べた感覚でした。この素晴らしい「深雪なす」は地域を代表する商品に昇華できると思っています。

Special Interview

雪深い魚沼で生まれた、
門外不出のブランドなす

やぶかみなす生産組合

雪国の清らかなイメージを名前に

新潟県民は、無類のなす好きという。作付面積では全国1位ながら、収穫量も出荷量も2ケタ台。つまり、自分たちで食べてしまうからだ。魚沼市薮神地区も例外ではなかった。1970年代、減反政策でさまざまな作物が試されるなか、なすが残った。「土地に合っていたんでしょうね。おいしいからうちでも作りたいと栽培農家が増えていったようです」。1978(昭和53)年に発足した深雪なすの生産組合(現やぶかみなす生産組合)は振り返る。なすは、泉州なすをルーツに持つ梨ナス系統で、1976(昭和51)年、京浜に向けて出荷が始まった。この時、冠されたのが「深雪」。雪国のイメージをのせて都市圏に送り出されたのだ。

水分多く皮薄く、甘みほんのり

「いろいろななすで漬物を作ってきたけど、これは格別」。そう聞いたことがある。十全、えんぴつ、巾着、水なす、やきなす、白茄子など新潟県で取れる種類はとても多い。その強者揃いにあって「別格」と言われる理由は、水分と甘さ。搾れば水がしたたるほどで、皮は薄く、甘い。ゆえに、漬けるのもちろん、煮ても蒸しても焼いても、生でもおいしい。食べれば皮がほどよく主張しながら、歯切れがいい。この特徴は組合が編み出した独自の生産方法と露地栽培から生まれている。

田んぼのポテンシャルを生かして

深雪なすは、田んぼを利用して育てられる。田んぼというと、保水性の高い粘度質の土壌が一般的だが大丈夫なのだろうか?「もちろん水はけは重要。でも、なすは『水で育つ』と言われるくらい水が好き。そこで、田んぼの保水性を利用して栽培しています」と栽培農家の仲丸晋也さん。春、雪解けの頃に土を起こして畝の列を作る。畝の間にできる窪みは、大切な「水かけ」装置だ。タイミングを見計らって水路の水を引き込み、畝間に流す。「元々田んぼだから水路が整備されている。それに保水性のいい土壌は、水をためて行き渡らせるのにちょうどいい」。夏は毎日、暑さが落ち着いた夕方に水路を開けて灌水させ、夜になったら排水。温度や状況を見ながらの目配りと手入れが、深雪なすのみずみずしさやおいしさを生み出している。

門外不出のタネがブランド化を実現

太陽の光がいっぱい当たるように、枝をV字型に開いた仕立て方も特徴だ。枝を開くことで生育後半の9月10月でも品質の良いものが生産でき、支柱によって茎が倒れにくく育つという。この頃に行われるのが自家採種だ。タネを取るなすが選ばれ、大きく育てられる。自家採種は深雪なすをブランド化させる動力になった。タネは門外不出。つまり、限定された地域でしか作ることができない。「半世紀も前に、この英断に踏み切った先達者には感謝しかない」と仲丸さんは言う。深雪なすは今、地域のブランドとなった。

逆境を逆手に、続くチャレンジ

生産組合をはじめた時は、逆境の中だった。ブランド米コシヒカリを生み出す産地だけあって、農地といえば田んぼ、農家といえば米農家。「米を作らないのは農家じゃない」「変わり者」そんな声もあったという。しかし、したたかに田んぼのポテンシャルを転用し、極上の一品へと育て上げた。「米と違って小さな田んぼでも始められるし、初期投資も少なくていい。自分みたいな非農家のUターンや新参者でも挑戦しやすい」。仲丸さんの言葉を、秋元真由美さんが継いだ。「子育てが一段落して家庭菜園から栽培農家になった。楽しくて仕方ない」。実際、20代、30代の生産者が増えていて、現在組合に属するのは14農家になった。農地も約160aと10年前の1.5倍。「6月後半から10月くらいまで収穫できるけれど、一番おいしいのは8月。採れたて、漬けて2日目くらいが最高という短期勝負の野菜なので、ぜひ食べにきてほしい」。持ち出しできない味わいもブランドの魅力を上げている。

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○事業者名 やぶかみなす生産組合(JA魚沼花き園芸センター内)
○所在地  新潟県魚沼市井口新田645-13
○問い合わせ先 025-792-2101

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