2023魚沼市プレミアム
限定品

糀入味付納豆

(株式会社大力納豆)

「夏納豆」を聞いたことがあるだろうか?まだ冷蔵庫のない時代、糀と塩で保存し、夏に食べたという魚沼の伝統食だ。ほとんど見られなくなった現在、変わらず作り続けているメーカーがある。創業87年になる大力納豆だ。

審査員の講評

  • 田村 秀 ( たむら しげる )

    夏納豆、なんとも不思議な名前のご当地の食材です。美味しくて、それでいて日持ちのする不思議な納豆。そのストーリーは多くの人にまだ知られていない、究極のご当地グルメと言っても過言ではありません。もちろん、魚沼産コシヒカリとの相性はバッチリです。実はお酒のつまみとしてもいい感じなのです(確認済み)。魚沼の豊かな食文化を象徴する加工食品として、全国の方に愛されることは間違いありません。 パッケージをもう少し工夫すれば、さらに評価は高まることでしょう。糀の力によって、忘れられない癖になる味わいです。茨城の方にも是非食べてもらいたい逸品です。

  • 武藤 麻実子 ( むとう まみこ )

    当地での「夏納豆」という郷土料理的な保存食品を現代版に商品化した意義が、評価したいポイントでした。歴史のある食品を、通年販売可能な商品として昇華させたという点は、慣れ親しんだ方々には指名買いを頂ける一方で、県外の方(県内でも初見の方)には物語性をもった納豆加工品として興味をそそられるかと思われます。 原材料に気を遣っているところも好感を持ちました。ご説明を伺うと細部までのこだわりが強く、単なる味付け納豆ではないことが理解できました。ご飯にも、お酒のアテにもよくあうおいしい製品です。地域性とともに、こうしたおいしさやこだわりをどのようにお客様に伝えていくかに期待をしたいと思います。

  • 須田 和博 ( すだ かずひろ )

    「夏納豆」という言葉を聞いたのも初めてでしたし、魚沼に「夏納豆」という食文化があることも初めて知りました。その魚沼特有の歴史や文化にヒモづいた商品であること、その物語性が伝わるようにしたほうが絶対に良いと思いました。少なくとも「夏納豆とは何なのか?」が伝わるような商品コミュニケーションは、した方が良いです。須田の聞き取った理解を言語化すると「もともと、冷蔵庫のない時代、納豆は冬に仕込んで冬に食べるものだった。これが冬納豆。それを魚沼では夏までもたせるために、塩麹を強く効かせて保存性を高めた。これが夏納豆。その製法を今も守ったまま出荷してるのが、大力納豆の夏納豆。」

  • 坂上 真人 ( さかうえ まさと )

    魚沼の地域に伝わる「夏納豆」という文化を残していきたいという大力納豆様の、企業として地元を愛している姿勢に非常に感銘を受けました。地元の知恵として夏の季節にも耐えうる納豆の食べ方をさらに地域外の皆様にも広げていくという、先代から受け継いだ強い想いを真空パッケージにして現在の商流通にも耐えうるように商品化したところに、この商品を後世に残していきたいという企業の強い覚悟を感じました。魚沼の厳しい自然がはぐくむ水のおいしさ、清らかさと新潟県内各地の地元の糀や塩にこだわる姿勢にもメッセージ性を感じ、魚沼の食文化を伝える商品としてプレミアム認定をさせていただきました。

Special Interview

魚沼の食文化を受け継ぐ、
夏納豆

株式会社大力納豆 坂詰仁

昔、納豆は冬の食べ物だった

1936(昭和11)年に創業した大力納豆。創業当初は冬の商売だったという。冷蔵庫はまだ各家庭になく、温度の高い夏は保存が難しかったからだ。「ほかの納豆屋さんも、夏はラムネを売ったり色天エゴを作っていたと聞きます」。
3代目の坂詰仁さんは、こんな大晦日の風景も伝え聞いている。「年末になると各家庭で納豆を仕込んで大晦日に食べたとか。できばえがいいと『来年はいい年になる』と言い合ったそうです」。地元作家の絵画にも描かれた魚沼の風物詩だ。

魚沼の食文化を守りたい

糀入味付納豆はもともと「夏納豆」と呼ばれる夏限定の食べ物だった。「当時、大豆は貴重なタンパク源だったんでしょうね」。冬に仕込んだ納豆を甕(かめ)に入れ糀と塩を詰めて保存、夏に取り出して食べたという。ほとんど作られなくなったが、大力納豆では変わらず作り続けている。「今でも夏になるとお客さんがいらっしゃるんですよ。『夏納豆ください』って」。坂詰さんはそのたびに、魚沼の食文化として守るべきものという気持ちを新たにしている。

食材にこだわり、時代に合わせて

かつては保存が目的だったことからも、塩気が強く「小指の先ほどの量でご飯一杯食べられる」と言われた。大力納豆では時代に合わせて味を調整し、現在は塩辛さを控えたまろやかな味わいに。「糀入味付納豆」は糀のうまみが大豆と溶け合い、ご飯にのせるのはもちろん、酒のつまみとしても人気が高い。坂詰さんが三代目を継いでからは素材にもこだわる。大豆は国産の中粒、糀は国産米の米糀、塩は村上市の笹川流れの塩。みりんは三河の愛櫻みりんを使っている。

大豆と水

製造現場を見せてもらった。できあがった納豆に塩と砂糖、米糀を加えて混ぜ、空気を抜いて袋詰めをする。その後、冷蔵庫で2,3日保存し、味をなじませてから出荷される。「糀入味付納豆にも使う納豆、大豆で決まる。うちではいろいろ試して北海道産に行き着きました。農家とはできるだけ直接お話しし、大豆の選定をしてもらっています」。
もう一つの決め手は、水だ。大豆を浸したり蒸したり、納豆づくりに欠かせない大量の水を大力納豆では八海山系の伏流水から取っている。「よそに出かけると必ず水を確かめるんです。やはり魚沼の水はうまい。本当は原材料のところに『水』と書き加えたいくらいですよ」

納豆の可能性を広げたい

2024年1月、パリで新潟を発信するアンテナショップ「Kinase」に納豆を出品した。「おにぎりが流行っていると聞きますから、ご飯との組み合わせでリピートされることを期待しています」。坂詰さんは納豆を「食材」として使ってもらえるように食べ方の提案もしていきたいという。「納豆の可能性を広げていきたい」。新基軸を狙うのではない。土地に根付き、新潟に育まれた材料を使いながら、魚沼の食文化を継いでいく。その地道な一歩が、可能性へとつながっていく。

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○商品情報 糀入味付納豆(120g) オープン価格
○事業者名 株式会社大力納豆
○所在地  魚沼市十日町360-6
○問い合わせ先 025-792-0411
○Web https://www.dairikinatto.co.jp/index.html

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